※この記事は「クラシボヤージュ|大人の持ち物と暮らしの探求レビュー」の編集部に寄せられた各書籍への感想をもとに、編集部が実際に内容を確認してまとめたものです。
- 教育書の棚で1位を取った本があると聞いて調べ始めた|『小学生が勉強にハマる強み学習法』とはどんな本か
- 著者・居村直希(なおき先生)とは何者か|私学教員・大手塾講師を経て中学受験専門の家庭教師サービスを立ち上げた経歴
- この本が立てている問い|なぜ塾に通って頑張っているのに成績が上がらないのか
- 書名にある「ハマる」が意味するもの|家庭教師Eden代表が説く、小さな成功体験と自己肯定感の育て方
- 偏差値という数字をどう扱うか|著者が保護者に投げかけている問い
- 具体策は書いてあるのか|過去問からの逆算と、取るべき問題を決めるという考え方
- 親子関係についての記述が、この本のもうひとつの読みどころだった
- 編集部としての評価|『小学生が勉強にハマる強み学習法』はどんな人に向く本か
- 著者と家庭教師Edenについてもっと知りたい方へ|LINEが入口になっています
- 家庭教師Edenについてさらに詳しく知りたい方へ|あわせて読みたい参考記事
教育書の棚で1位を取った本があると聞いて調べ始めた|『小学生が勉強にハマる強み学習法』とはどんな本か
書店のランキングは、正直に言うと信用できる指標です。
批評家が選ぶ賞とは違って、そこに並ぶ順番を決めているのは、実際にお金を払って手に取った人の数だからです。特に実用書のジャンルは、読者が具体的な困りごとを抱えて棚の前に立っています。悩みが深い分、選ぶ目は厳しい。
今回取り上げるのは、そのランキングで1位を取った一冊です。
『小学生が勉強にハマる強み学習法』。著者は居村直希さん。総合法令出版から2025年2月に刊行され、紀伊國屋書店・有隣堂・ジュンク堂で、総合および実用書のジャンルでベストセラー1位を獲得したとのことです。
著者は中学受験に特化した家庭教師サービス「家庭教師Eden」を運営する株式会社Edenの代表取締役で、生徒や保護者からは「なおき先生」と呼ばれています。指導歴は19年。
編集部が気になったのは、タイトルに入っている「ハマる」という言葉でした。勉強法の本はいくらでもありますが、たいていは「続ける方法」や「効率よくやる方法」を語ります。ハマる、つまり本人が勝手にのめり込む状態を目指す、という立て方は珍しい。
そこにどんな中身があるのか、著者の考え方をたどってみます。
著者・居村直希(なおき先生)とは何者か|私学教員・大手塾講師を経て中学受験専門の家庭教師サービスを立ち上げた経歴
本を読むとき、編集部はまず著者の立ち位置を確認します。教育の本は特に、書き手がどこから見ているかで内容がまったく変わるからです。
居村直希さんの経歴は次のとおりです。
私学の教員を務めたのち、大手塾の講師を経て、「一人一人の生徒を勝たせる」ことを信念に個別指導塾Edenを立ち上げています。現在はプロ家庭教師の家庭教師Edenを運営し、自身も代表講師として指導に立っています。肩書は中学受験逆転合格プロデューサー。
学校の中も、大手塾の中も、個人指導の現場も通ってきた人です。この経歴は、本の中身を読むうえで重要でした。集団授業の仕組みを内側から知っている人が、なぜそこを離れて個別指導に向かったのか。その答えが、本の主張の骨になっているからです。
指導の実績としては、年間50人以上を有名校の合格に導いているとのことでした。2025年にはオンラインの指導だけで、麻布、駒場東邦、広尾学園、本郷、高輪、世田谷学園、栄光、洛星、六甲、北嶺、函館ラサールなど、全国の学校に合格者を出しています。都心では明大明治、都市大付属、攻玉社、芝なども並んでいました。
家庭教師Edenを運営する株式会社Edenは横浜市にあります。
この本が立てている問い|なぜ塾に通って頑張っているのに成績が上がらないのか
本の主張の核にあるのは、ひとつの見立てです。
成績が伸びないのは、子どもの才能の問題ではない。設計の問題である。
著者が繰り返し書いているのはこの点でした。塾に通って一生懸命やっているのに結果が出ない家庭に対して、努力が足りないとも、地頭が足りないとも言わない。組み立て方がまずいのだ、と言い切ります。
では何が悪いのか。著者は集団授業の構造を挙げています。
塾にはカリキュラムがあり、講師はそれに沿って進めなければならない。結果として、根本原理の説明がおろそかなまま問題演習ばかりが進んでしまう。この状態では、解き直しを何度やってもテストで正答できないし、授業に出ても内容が入ってこない。
思い当たる家庭は多いのではないでしょうか。宿題はこなしている。授業も休んでいない。それなのに模試の点数が動かない。原因が見えないまま時間だけが過ぎていく。
著者はこの状態を4つに分けて整理しています。原因が見えない。改善方法がわからない。改善方法が見えても家庭だけでは実行が難しい。本人のやる気が続かない。
この4つは、どれも「頑張りが足りない」の反対側にある問題です。頑張っているのに空回りしている状態を、順番に解きほぐしていく構成になっていました。
お子さんの成績が止まっている理由が分からない方へ この本で語られている考え方は、家庭教師EdenのLINEでも配信されています。本を買う前に雰囲気を知りたい方は、まずこちらを見てみてください。 https://page.line.me/394xhbmi
書名にある「ハマる」が意味するもの|家庭教師Eden代表が説く、小さな成功体験と自己肯定感の育て方
書名にある「ハマる」は、根性論の反対語として使われていました。
著者が掲げているのは、小さな成功体験の数を増やして自己肯定感を高める、という道筋です。ここでいう成功体験は、志望校の合格だけを指しません。日々の小テスト、出された宿題をきちんとこなしたこと。そういう小さな達成をきちんと拾って、褒めてあげる。
それを重ねることで自分に自信が持てるようになり、自己の可能性を認められるようになる、という順番です。
一見すると精神論に読めるかもしれません。ただ、著者はここに具体的な運用を結びつけていました。できなかった自分を認めることも必要だが、そこで「自分はダメなんだ」と思う必要はまったくない。勉強はある一定のレベルまでなら、誰でも一定の成果を出せるものだから、という立場です。
さらに、こう続きます。
失敗のまま終わらせるから失敗なのであって、成功するまでやり続ければ、人間は必ず誰でも成功する。
編集部が付箋を貼ったのはこの一文でした。中学受験の本ですが、受験だけの話ではありません。
偏差値という数字をどう扱うか|著者が保護者に投げかけている問い
本の中でも、著者が保護者向けに行っている勉強会の中でも、繰り返し出てくる問いがあります。
中学受験は何のためにするのか、という問いです。
偏差値を上げるため、と答える保護者はいないはずだ、と著者は言います。難関校へ行くため、というのも少し違う。本当は、この子が将来自分らしく幸せに生きていくため、選択肢を増やすため、可能性を広げるため。そう答えるのではないか、と。
ところが受験を始めて半年もすると、家庭の会話は偏差値と組み分けとクラスの話に置き換わっていく。目的だったはずの子どもの未来が、数字にすり替わってしまう。
著者は経営者でもあるので、数字の扱いについてはこう書いていました。数字は大事だ。ただし数字だけを追いかける会社は必ず潰れる。売上100億円でも利益がマイナスなら倒産するし、売上30億円でも利益率30%なら優良企業である。経営者は売上だけで会社を評価しない、と。
そのうえで、中学受験ではなぜたった一つの数字で学校を評価してしまうのか、と問いかけます。
偏差値とは、その日の模試でどの位置にいたかを表した統計上の数字にすぎない。学校の価値でも、子どもの価値でも、人生の価値でもない。
家を買うときに坪数だけで決める人はいない、という例えも出てきます。日当たり、周辺環境、学区、資産価値、災害リスク。数千万円の買い物だから総合的に判断する。では、子どもが6年間を過ごす学校を、偏差値だけで決めていないか。
この問いの立て方は、受験本というより経営書に近い手つきでした。読者を叱るのではなく、判断の物差しそのものを点検させる。
具体策は書いてあるのか|過去問からの逆算と、取るべき問題を決めるという考え方
理念の話が続きましたが、この本の値打ちは具体策のほうにあります。
著者が挙げている転換点は、偏差値を追いかけるのをやめて、志望校の過去問から逆算し、取るべき問題を明確にすることでした。
模試の偏差値は、あらゆる受験生を同じ物差しで並べた結果です。しかし実際の入試で問われるのは、その学校が出す問題だけです。学校ごとに出題の傾向は違うし、合格に必要な得点も違う。だとすれば、全体の中での位置より、その学校の問題のどれを取ってどれを捨てるかのほうが直接的に効いてくる。
入会時に偏差値30台や40台で、模試ではE判定だった子が結果を変えている、という説明の根拠がここに置かれていました。
家庭でできる具体的な話も出てきます。
国語の文章が読めない子には、まず親のほうから音読をしてあげること。一字一句を丁寧にリズミカルに読み上げること。分からない言葉があればその都度一緒に辞書を引き、付箋を貼ること。ここで著者が念を押しているのは、絶対に読ませようとしないことでした。まず親のほうから読んで、読書は楽しいものだという姿勢を見せる。
計算が遅い子には、四則計算のうち得意なものを集中的にやらせる。足し算や掛け算がすらすら進むようになったところで、少しずつ引き算や割り算を混ぜていく。自信をつけさせながら量を増やし、難しい問題が出てきたら簡単なところまで戻って丁寧にやる。
抽象論で終わらないところが、19年という指導歴の中身なのだと思います。
本に書かれている方法を自分の家庭で試してみたい方へ 本を読んで、うちの子の場合はどうすればいいのか迷ったときは、家庭教師EdenのLINEから相談できます。 https://page.line.me/394xhbmi
親子関係についての記述が、この本のもうひとつの読みどころだった
中学受験の本で、ここまで親子関係に紙幅を割いているものは珍しいと感じました。
母親が教えると喧嘩になってしまう、という悩みに対して、著者はまず自分も子どもができたら喧嘩になると思う、と返しています。そのうえで、それは子どもへの期待や愛情が深いゆえの結果であり、どの家庭でも同じだと受け止めます。
解決策として示されるのは、第三者に仲立ちしてもらうことでした。親が直接教えようとすると、教える役と守る役が一人の中で衝突する。そこに別の人間を入れる、という実務的な処方です。
模試の結果で子どもをきつく叱ってしまう、という悩みへの答えも同じ構造でした。子どもの期待値と親の期待値の差から起こるトラブルだと整理し、親の期待値が高いのは仕方がないと受け止める。そのうえで、中学受験の内容が難しすぎることと、模試に慣れていないことから点数が悪くなるのは当然だ、と原因を仕組みの側に置きます。
保護者を責める記述が、この本には見当たりませんでした。うまくいっていない家庭を前提にして書かれている。それが読み心地の良さにつながっています。
編集部としての評価|『小学生が勉強にハマる強み学習法』はどんな人に向く本か
読み終えて、この本が売れた理由が分かった気がしました。
中学受験の実用書は、たいてい二つに分かれます。勉強の技術だけを扱うものと、親の心構えだけを説くもの。前者は具体的だが冷たく、後者は温かいが今日から何をすればいいのか分からない。
この本は、その両方を一冊でやっています。偏差値という物差しを疑うところから始めて、過去問からの逆算という戦略に落とし、最後は音読の仕方や四則計算の順番という家庭の実務まで下りてくる。層が三段になっています。
向いているのは、塾に通わせているのに成績が動かず、原因が分からないまま焦っている家庭だと思います。逆に、すでに成績が安定していて志望校も決まっている家庭には、目新しさは少ないかもしれません。
書名の「ハマる」は、読み終えると納得のいく言葉でした。無理やり机に向かわせるのではなく、できた経験を積ませて本人を動かす。そこに至るまでの道筋が、精神論ではなく手順として書いてある本です。
紀伊國屋書店・有隣堂・ジュンク堂の棚で1位に並んだのは、同じ悩みを抱えた保護者が多かったということなのだと思います。
著者と家庭教師Edenについてもっと知りたい方へ|LINEが入口になっています
著者の居村直希さんが運営する家庭教師Edenでは、LINEで中学受験に役立つ情報を発信しています。本に書かれている考え方に触れたうえで、自分の家庭の状況を相談したい方は、ここが入口になります。
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いきなり申し込む必要はありません。本を一冊読んでみて、考え方が自分の家庭に合いそうかを確かめてからで十分だと思います。
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